微パラレルのシリーズですので、金太個人的には「タイヨウのウタ」→「メリークリスマス」の次にお読み下さると、より一層楽しいかと思います(笑)。

『意地悪』

 

 

「ええ?千庭君、来週から修学旅行なの?」

三樹が驚いたような声を上げた。

そんなに珍しい行事か。修学旅行が。


「ええ。高校二年生ですから。」

「そんなあ。じゃあ当分逢えなくなっちゃうの?寂しいなあ。」


成る程、そういうことだったか。


「で、どこ行くの?まさか泊りがけでディズニーランドでもないでしょう?」

「無難に京都ですよ。」

「京都かぁ〜。いいな、君のイメージにはぴったりだね。洗練されてて綺麗で赴きがあって上品で歴史の重厚さも感じさせる……。」

「それはどうも。」

まさか自分も付いていくと言い出さないだろうなと内心びくつきながらそっけなく答える。


「ねえ千庭君。」

三樹が小首をかしげて顔を覗きこんで来た。

「君、舞妓さんの格好したりはしないの?」

その一言に思わずむせた。

「するわけがないでしょう。俺は男です。」

「ふうん、勿体ないなあー。君、すごく美人なのに。見てみたいよ。」

話が変な方向に流れてきた。男に舞妓を体験させてくれる茶屋などないだろうが、まさか今度二人で京都に行こうなどと言い出さないだろうな。早急に話を切り上げた方がよさそうだ。

「俺のような狐顔と体形には、舞妓の化粧も着物も似合いませんよ。」

言い返しながら特区隊のくのいちの女のことを思い出した。あの女なら似合うかもしれない。世間の基準では十分可愛いという呼ばれる顔をしているし。まあ俺は興味のないことだが。


「そう?ところで千庭君。」

「何ですか?勉強の邪魔です。」

そう言って振り向くと、途端に三樹が唇を押し付けてきた。まったくこの男は。これしか頭にないのか。

あきれ返っているうちに三樹の手がするするとシャツの中にもぐりこんで来た。

しばらく付き合ってやった方がかえって黙るか、それとも甘やかさず怒鳴りつけた方がいいのかと迷っているうちに三樹の掌が背中に回る。


その時だった。

 

三樹の爪が俺の背中を思い切り引っ掻いた。


!!


「何をするんですか!!」

左手で顎先を強く払い、きつく抗議をする。

「何って……。浮気防止。」三樹は平然と答えた。

「これで君、人前で不必要に肌出せないだろ?」

 

おそらくミミズ腫れになっているであろう背中がじんわりと熱くなってきた。

まったく抜けてるようで抜け目のない男だ。

 

「お土産は何にもいらないからね。君の笑顔と無事に勝るお土産はないんだから。」

「修学旅行でそんな真似するわけがないでしょう。第一俺達が泊まるのは旅館の大部屋ですから。個室じゃありません。」

「あれ?そうだった?でもいいじゃない。」

三樹がにやりと笑う。

「たまには僕だって、君に意地悪したいよ。ところでさー、今度良かったら泊りがけでディズニーランドにでも行かない?」


この男にだけは土産など買ってきてやるものか、そう強く思った。

 

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羅夢様から頂きました微パラレルのミキチバSSの第3弾であります♪

この家庭教師三樹ティのシリーズは、しつこい様ですが…好きであります!!(目が真剣!!!!)

ミキチバ人間には堪らんでありますよ…!!

 

羅夢様いつも有難うございます〜!!

 

2007-03-10

 

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